包茎和幸:2

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 翌日。
「よう」
 更衣室で声をかけられ、和幸は声も出なかった。
 昨日近付いてきた中年男性だ。
 これから浴場に向かうところなのか、全裸で、剥けた逞しいペニスを隠そうともせず立っている。
「また包茎チンポを見られに来たのか?」

「ち…違います…!」
 待ち構える男を避けるようにして、和幸は隅っこのロッカーに向かう。
 しかし、服を脱ごうとする和幸を、男はじっと見つめていた。
 その視線を背中に浴びながら、和幸は上着、シャツ、ズボン、靴下…そしてトランクスに手をかけた。
 しかし、半分ほどおろしたところで、そこで和幸の動きが止まる。
(な、なんで…)
 和幸のペニスが反応を始めてしまったのだ。
「どうした? 早く脱げよ」
 男は、和幸から目を逸らす気配が無い。
 和幸は、深呼吸をしてから、トランクスをずり下ろした。
「…あ…っ…」
 完全に裸になり、陰部が外気に触れた途端、ビクビクと、和幸の包茎ペニスが、本格的な勃起を始めてしまった。
(あの人に見られてるって思ったから…?
 そんな…それじゃまるで…)
 コントロールできない自分の陰部に動揺していた和幸だが、自分の身体が、今現在も男の視線にさらされていることを思い出し、慌てて用意していたタオルで股間を隠す。
 そして、ニヤニヤしている男を避けて、遠回りに歩き、浴場へと向かう。
「……」
 後ろから付いてくる男の気配を感じながら、和幸は浴場の扉を開いた。

 数分後。
 浴場の隅っこの洗い場で、和幸は男に背中を洗われていた。
 拒絶してもしつこく付きまとってくる男に、もはや諦めたような和幸。
 …男は「小沢」という名前だった。詳しい事は言わなかったが、自営業らしい。
 おそらく肉体系の仕事なのだろう、ガッシリとした身体に、腕も太腿も丸太のように太い。和幸もそれほど小柄ではないが、力ではまずかなわないだろう。
 そして小沢は、毎日この銭湯に通っているらしい。
「好みの男を見つけたら声をかける」
 そう言ってはばからないような男性だった。
「普通に話しかけて、脈がありそうだったら、誘いをかけて、ホテルか車に連れ込むのさ」
 和幸の背中を、彼から借りたタオルで擦りながら話す小沢。
「…じゃあどうして、僕なんかに付きまとうんですか」
「あんなチンポ見たら、ちょっかいかけたくなるもんだ」
「……」
「お前だって期待してるんだろ? 俺に何をされるかって」
「違います! 家のお風呂が故障して、それで…あっ!」
 小沢のタオルが、背中からするっと胸へと移動する。
 何度か乳首のあたりを揉み回した後、タオルは和幸の股間へとおりていく。
「や、やめて…」
「洗ってるだけだろ」
「あ…あぁ…」
 包茎ペニスをタマごとタオルにくるまれ、乱暴に揉み回される。和幸は抵抗もできなかった。
「お、何だよ、勃起してるじゃねえか」
「や…あ…ん…」
 小沢は、右手のタオルで和幸の股間を愛撫しながら、さらに左手を伸ばし、和幸の身体を撫で始める。首筋や脇腹、太腿…
「は…ぁ…あぁん…」
 太くてゴツゴツした指が全身を這うたび、和幸は艶かしい声を出して喘ぐ。
 …だが、そんな和幸と小沢の姿を、周囲にいた人達が怪訝な表情で見つめ始めているのを、和幸は気付いた。
「い、嫌…! もう、やめて…!」
 何とか力を振り絞り、身体をよじって小沢を引き離そうとする。
 すると小沢は、自ら手を引いた。
「悪かったよ、やり過ぎた」
「……」
 それでも笑っている小沢を睨んだ後、和幸は自分でお湯をかぶって身体の泡を流し、立ちあがった。
 そして、小沢に向かって言う。
「…タオル、返してください」
「タオル忘れてきたんだ。貸しといてくれよ」
「そ、そんな…」
「まあいいじゃねえか。そのまま風呂に入ってこいよ」
「……」
 和幸は、手で股間を…小沢に愛撫され、いまだに勃起したままの包茎ペニスを隠しながら、湯船へと向かった。

 しばらく湯に浸かった後、和幸は出口へと向かう。
 …あたりに小沢の姿は見えない。
(どうしよう…)
 周りにいる人達は、ペニスを隠さず堂々と歩いているか、隠すならタオルを添えたり巻いたりしている。和幸のように、タオルも無しで、手だけでペニスを隠して歩いている者はいない。
 そんな自分にたまらない羞恥心を覚えながらも、とにかく更衣室のロッカーにあるバスタオルを取りにいくため、和幸はそのままの格好で、出口へと向かう。
 すると、
「…あ…!」
 いきなり、股間を隠しているほうの腕を掴まれる和幸。
 小沢だった。
 思わず身を引く和幸だが、小沢は強引に掴んだ腕を引っ張る。
「やっ…やめ…!」
 包茎ペニスを露出させ、慌てながら抗議する和幸を無視して、小沢は歩き出した。
 小沢の強い力に、和幸は抵抗できず、ズルズルと引きずられていく。
「な、何するんですか…!」
 その問いかけに、ようやく小沢が口を開いた。
「さっきの続きだよ」
 そう言ってニヤリと笑う小沢に、和幸は青ざめた。
 …そして和幸は、再びお湯に浸からされる。
 普通の風呂ではない。
「ジェットバス」と呼ばれるものだ。
 このスーパー銭湯には、大浴場にくっつくような形で、水風呂や、弱い電気を流している風呂など、小さい区切りの特殊な風呂がいくつかある。
 そして今、ジェットバスのスペースは、和幸と小沢で埋められている。
 強い勢いで泡が放出して、和幸の身体にぶつかってくる。
 そのため、水面は泡だらけで、湯の中の状態が分からない。
「……」
 これから何をされるか、容易に想像できてしまうようなシチュエーションの中、和幸はちらりと、左隣の小沢を見た。
(このままこの人と一緒にいたら…
 でも、逃げられない…何だか、身体が動かない…)
「何だ? そんなに物欲しそうな顔して」
「ち、違…!」
「心配すんなよ。お望みどおりしてやるからよ」
「そんな…あなたが強引に連れてきたんじゃ…」
「嫌なら逃げればいいじゃねえか」
「……」
「周りの奴に助けを呼ぶとかよ。
 それをしなかったって事は…」
「違います!」
 必死になって小沢の言葉を否定する和幸。そんな姿をしばらくニヤニヤと見つめていた小沢だが、突然、湯船の中に浸けていた右腕を動かすと、和幸の股間へと伸ばす。
「あっ…!」
 思わず身をよじる和幸だが、彼の包茎ペニスは、小沢の指によってつままれてしまう。
「もう諦めろよ。何されるかぐらい分かってんだろ? どうせなら楽しもうぜ。
 それに…あんまり騒いだらまたバレるぜ」
「う…」
 小沢の言葉に和幸は、観念したように動くのを止めた。
 それでも、できるだけ上体を小沢から離し、顔を逸らし、歯を食いしばって、小沢の指の感触に耐えている。
 そんな和幸の表情を楽しみながら、小沢は、包茎ペニスをつまんでいた指を動かし始めた。
 まず、最も敏感な亀頭の裏側のくびれあたりを、包皮越しにひとさし指の腹で擦る。
 それだけで、ビクビクと和幸の包茎ペニスは勃起してくる。
 続いて、亀頭の先端部分を、これまた包皮を擦る形で刺激する。
 さらに、ひとさし指と親指で、軽く何度かしごき上げる。
「んっ…んふ…あ…ぁん…」
 次第に和幸の口から喘ぎ声が漏れてくる。
 オナニーもぎこちないような和幸にとって、小沢のゴツゴツした太い指から繰り出される愛撫は、とても我慢しきれるものではなかった。
「ああぁ…も…だ、駄目です…」
「何だよ、もう限界か? 情けねえ包茎チンポだなあ」
 愛撫のスピードをゆるめて言う小沢。
「このまま俺にイカされたいか?」
「う…う…」
「こんな場所で、男に弄られて射精したいのか?
 もしかしたら、もう周りの奴らにバレてるかもしれないのにな」
「あ…あぁ…」
 小沢の言葉によって、今まで忘れかけていた事実…ここが銭湯で、たくさんの視線があるということを思い出す和幸。
 当然のように、羞恥心が膨らみ出す。
 しかし…それでも彼の包茎ペニスは一向に衰える気配を見せず、かえってより興奮の度合いを高めたようでもあった。
(い、嫌だ…こんな場所で…男なんかにイカされる、なんて…)
 そんな自分の思考さえも、今では包茎ペニスの興奮につながっているようだった。
「なあ、どうなんだ? 皮も剥けてねえ情けないチンポでイキたいのか?」
「あぁ…あう…ん…」
 それでも、何とか残っている自制心で体をよじってみせた和幸だが、小沢は意外な行動に出た。
「そうか、このまま風呂から出たいんだな」
「え…?」
 小沢は、包茎ペニスを強く掴み直すと、そのままグイッと上に引っ張りあげる。
「いっ…!」
 たまらず和幸は腰を浮かす。
 さらに小沢は包皮が伸び切ってしまうぐらい強引にペニスを引っ張り続ける。
「あ…や、やめ…てぇ…!」
 ペニスがちぎれてしまうような痛みに耐え切れず、和幸は立ちあがってしまう。
 ジェットバスの水面から、小沢に包茎ペニスをつままれた、和幸の股間が姿を現す。
「あ、あ…」
 幸いにも、その時彼らの周囲を通る者や、彼らに視線を向けている者はいなかった。
 しかし和幸は、ビンビンにそそり立った射精寸前の包茎ペニスを、公衆の面前にさらけ出している…その事実だけで、彼の頭の中は真っ白になった。
「イカせてやるよ」
 既に放心状態の和幸に、小沢がとどめとなる宣言をする。
 そして、掴んでいた包茎ペニスを、強く上下に擦り上げた。
「ひぁっ…ひ…ひぃ…いいいいっ!」
 数回しごかれただけで、抵抗する間も無く、たちまち和幸は射精した。
 だがその瞬間、小沢は素早く和幸の肩を掴み、再び強引にジェットバスの中へと潜らせる。
「あぅ…う…!」
 その時、何人かの男性が和幸たちの方向に目をやっていたが、その時にはもう和幸は、首までお湯に浸かっていた。
「あ…ああぁ…ああぁん…」
 その状態のまま、和幸は、ビュクビュクと何度も、白い液体をお湯の中に放っていた。
「はしたない奴だな。それとも、あのまま見られてた方がよかったか?
 なあ、どうなんだ? 包茎チンポの変態さんよ?」
「あ…は…はぁ…」
 小沢に身体を押さえつけられ、汚い言葉をかけられながらも、和幸はビクビクと身体を震わし、射精の快感に酔い続けた。

→END

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