包茎父兄:extra1

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「ねえねえミドリちゃん、あのことだけど…どうだった?」
「うんとね、うちのパパもホウケイだったよ」
 とある小学校での、女子児童たちの会話である。

「おふろでふざけたふりしてオチンチンの皮ひっぱったら、あんって女の子みたいな声だして、ボッキしちゃった」
「あはは、やっぱりミドリんちのお父さんもそうなんだ~」
「それからそれから?」
「うんとね、マミにいわれたとおりにオチンチンいじったよ。パパ、やめなさいなんていってるくせに、きもちよさそうなかおしてた」
「オチンチンいじられるのってそんなにきもちいいのかなあ」
「サキのお兄ちゃんもねえ、オチンチンいじると、すごくかわいい顔になるんだよ」
「うんうん。パパのかお、すごくかわいかったよ」
「で?それからどうなったのミドリ?」
「もっとしたかったんだけど…ママがおふろばに近づいてきたから、おしまいになっちゃった」
「え~ざんねん~」
「そのあとパパにおこられちゃったよ」
「へいきだよ、そんなの。怒られたのはお父さんにだけでしょ?」
「うん、だってパパは、ママにはぜったいいうなって」
「だったら大丈夫。これからもふたりきりになったときにしてみたらわかるよ」
「え~、でも…」
「私のお父さんもね、最初したときはすごい怒って、しばらく口聞いてくれなかったけど、最後までやっちゃえば、もう怒ったりしなくなったよ」
「さいごまで?」
「シャセイってことだよ~」
「そうそう。男のひとって射精しないとすごくつらいみたい。私が何日もしてあげなかったら、お父さん、じっと私のほう見てくるのよ。そのときの目も、すごくかわいいのよ」
「へぇ~、マミってそんなことしてるんだぁ。私もお兄ちゃんをじらしてみようかな」
「ふたりともいいなあ。私のパパも、そんなふうになるかなあ…」

 …そんな会話が繰り広げられている教室に、松崎遊里はいた。
 彼女のクラス女子の間では、父や兄など、自分の身近な男性をもてあそぶ「遊び」が流行していた。
『男は包茎を責めればおとなしくなる』
『言葉だけで勃起すればマゾだからいじめても大丈夫』
『一度射精さえさせれば自分の言いなりにさせられる』
 などという、誰がどこから仕入れてきたかも分からない情報が女子中に浸透していたのだ。

「ねえ、ユーリんとこどうなの?お父さんと」
 それまで聞き役に徹していた遊里は、一瞬揺らいだ心を隠しながら口を開く。
「私は、別に」
「え~もったいないよ」
「ユーリんとこってすごい若いお父さんなんだよね?しちゃえばいいのに~」

 遊里が悠一郎にしている行為に、このような環境は無関係ではないが、彼女はクラスの誰にも、父親との関係を打ち明けてはいなかった。
 遊里は、クラスメイトとの会話に形だけ加わりながら、その心中は悠一郎のことでいっぱいだった。

 どうすれば悠一郎の心を掴めるか…
 どうすれば自分を、娘としてではなく、女として受け入れてもらえるか…

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