包茎父兄:3

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 週末。悠一郎は家でひとりだった。
 遊里は、友達の家に泊まりに行っている。
 彼女は出かける際、一本のビデオテープを悠一郎に手渡した。
『父さんが寂しくならないように撮っておいたの』
 そんな言葉を添えて。
 今までのことから、テープに入っている内容への想像が自然となされてしまうが、そんな思いをできるだけ排除しつつ、悠一郎は静かに、ビデオを再生した。

『父さん』
 テレビから流れ始める、いつもの落ち着いた声。
 そしてディスプレイに映し出されたのは、一糸まとわぬ娘の姿。
『私がいなくて寂しいでしょ?
 でも、心配しないで。今日もちゃんと、私がイカせてあげるから』
 場所は、遊里の自室。
 彼女はベッドの上に腰を下ろし、父を責めるときに見せる、艶のある笑みを浮かべながら、撮影に使っているビデオカメラのレンズを覗きこむ。
 テレビに接近し、映像を凝視していた悠一郎は、まるで遊里に覗き込まれているような錯覚に陥り、赤面する。
『まずは服を脱いで』
 静かに、映像の中の遊里が言った。
 その言葉に、反射的に自分の服に手をかけた悠一郎だが、眼前にいるのは生身の遊里ではなく、遊里の過去の姿だということに気付き、躊躇する。
 だが、映像の遊里は、そんな父親の心理さえも読んでいるかのように、続けた。
『あ、これは私からの命令だからね。ちゃんとしなかったら、もう二度とイカせてあげないよ』
 ビクンと、悠一郎の全身が震える。
 そして彼は、慌ただしく服を脱ぎ捨て、テレビの遊里の前で全裸になった。
 それからほとんど時間を置かず、遊里の声がした。
『…じゃあ、自分でしごいて。見ててあげる』
 その言葉を待ち受けていたかのように、悠一郎は、既に完全に勃起している包茎ペニスを掴み、上下にしごき始める。
「ん…は…ぁ…」
 それ以降、テレビは遊里の声を一切伝えず、彼女が本当に目の前で父親のオナニーを凝視しているような映像を流し続けた。
「はぁ…はぁ…はぁっ…」
 次第に早まっていく、悠一郎の息づかいと、ピストン運動。
 包茎ペニスからは液体が擦れる音が聞こえ始め、彼の興奮を物語っている。
「は…はあぁ…あぁ…んっ…!」

 オナニーを始めてから約3分。
 早くも悠一郎は、絶頂に達しようとしていた。
「あ…も、もう…っ!」
 その時。
『イッちゃダメだよ、父さん』
 ゆったりとした遊里の言葉に、悠一郎の行為が中断させられる。
 単なる偶然なのか、それとも、父親の自慰行為にかかる時間を把握しているのか、いずれにせよ遊里の言葉は、悠一郎が射精する寸前の、絶妙のタイミングだった。
「…あ…あぅ…」
 あと数回しごけば間違いなく射精する包茎ペニスを握りながら、切ない瞳をテレビの遊里に向ける悠一郎。
 そんな父の視線を感じているかのように、遊里は少し優しい笑顔を向ける。
『イキたい?精液出したいの、父さん?』
 ここにいる遊里は、あくまで映像。
 悠一郎がどんな行動を取ろうとも、彼女は同じ仕草しか見せられないし、同じ言葉しか話せない。
 もし悠一郎が既に射精してしまっていたら、現実と食い違ってしまう娘の映像に、彼の気持ちは冷めてしまったかもしれない。
 だが今、悠一郎は、遊里の映像に従っている。
 遊里に射精を制止され、どうすることもできないでいる。
『いやらしいね、父さんって』
「ああ…ああぁ…」
『娘に見られながらオチンチンしごいて、イキそうになってるなんて』
「う…うぅん…あう…」
 しごくことを禁じられた手をそのままに、悠一郎は腰をくねらせ、射精できないもどかしさを少しでも紛らわそうとする。
『私が思ってた以上にヘンタイだね、父さんって…』
 遊里は執拗に、悠一郎を言葉でなじり続ける。
 悠一郎の意識は次第に脳から遠ざかり、下半身へと集中していく。
「あう…も、もう…」
 とにかく射精したい。
 もう、彼の意識にあるのはそれだけだった。
「おねがい…もう…もう、い…いかせ、て…」
 単なる映像にしか過ぎない娘に向けての懇願は、予想外の形で拒絶される。
『はい、そこまで。続きは私が帰ってきてからね』
「…え?」
『だから明日まで、勝手に射精したりしちゃダメだよ』
「そ、そんな…」
 テレビ画面に向かって情けない声をあげてしまう悠一郎だったが、
『ビデオはこれで終わりだけど、絶対に、勝手にイカないようにね。
 もしイッたりしたら…お仕置きだから』
 その言葉とともに、ビデオの映像は途切れた。
「あ…あ…」
 未練がましくテレビに詰め寄る悠一郎だが、もう画面は何の映像も映し出さない。
 悠一郎は仕方なく、握りっぱなしの包茎ペニスから手を離すが…
「う…はあぁ…」
 まるで別の意志を持っているかのように、包茎ペニスがヒクヒクと蠢き、最後まで行為を行わない悠一郎を責めたてた。
 射精寸前のペニスから伝わる疼きは全身へと広がり、悠一郎の理性を急激に鈍らせていく。
「は…ぁ…」
 悠一郎の手は、再び包茎ペニスを握っていた。
 そして、上下に擦り始める。
「あ…あ…あああ…」
 もう、止められなかった。
「あっ…あぁん…ああぁ…はあぁ…」
 ペニスを激しくしごきたてながら、乳首や睾丸を乱暴に弄る。
「あ…あ…ああああっ!」
 そして悠一郎は、射精してしまった。
 大量の精液を放出し、その場に倒れる。
「はぁぁ…ぁぁ…」
 満たされた身体。
 しかし、そんな満足と引き換えに、悠一郎の心は、罪悪感…それまでのものとはまったく異質の罪悪感で満たされていく。
「……」
 それでも悠一郎は、そんな自らの内心を打ち消すべく、しばしの快感に身を委ね続けていた…

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