包茎父兄:1
「父さん、お風呂…」
「え?」
「今夜は父さんと入りたいの…駄目?
「いや、そんなことは…じゃあ、入ろうか」
…松崎悠一郎(まつざき・ゆういちろう)には、24歳という若さで、10歳の娘がいる。
もちろん実子ではなく、先日他界した妻の先夫の子である。
娘の名は遊里(ゆうり)。
彼女については妻に任せきりだったため、父娘二人の生活になっても、その関係は実にぎこちないものであった。
悠一郎も、何とか彼女との距離を縮めようと努力するものの、おとなしく、口数が少ない遊里の気持ちを掴みかねていた。
そんなある日の夜の、出来事である。
「……」
浴室で、互いに初めて一糸まとわぬ姿を見せ合う父娘。
遊里は、10歳という年齢を感じさせない顔立ちをしていた。
軽くウェーブのかかった長い髪も、彼女の外見をより大人っぽくしている。全身を見回すと、まだ胸も膨らんでおらず、確かに子供の身体なのだが、どことなく色っぽさを感じる。
そんな彼女の身体に、一瞬浮かんでしまったよからぬ思いを慌てて振り払う。
「いつもはどうしてる? まずはシャンプーかな?」
そんな父の問いかけに答えず、遊里は悠一郎のほうに身体を向けた。
そして、じっと彼を見つめている。
痩せてはいるが、それなりに身長のある悠一郎と、年齢相応に小柄な遊里。
彼女の視線は、悠一郎の股間に集中していた。
「な…何?」
思わず手で股間を隠した悠一郎に、遊里は静かに言った。
「父さん、包茎なんだ」
思いも寄らなかった台詞に、悠一郎は狼狽する。
「先っぽに皮が余ってるオチンチンが包茎なんでしょ?父さんのって、全然剥けてないんだね」
「な、なんでそんなこと…」
「今時、小学生でも知ってるよ、そんなこと。
父さん、そんな包茎のオチンチンで、母さんとのセックスちゃんとできてたの?」
形容しがたい恐怖に襲われる悠一郎。
「こ、こら…女の子がそんなはしたない話をするもんじゃないよ」
股間を手で隠し、無理に笑顔を作って、努めて明るい口調で娘を諭す悠一郎。
すると遊里は、ころりと態度を変えて、
「背中洗ってあげる」
そう言って、悠一郎を椅子に腰掛けさせる。
そしてボディスポンジを使って、父親の背中を洗い始めた。
「……」
悠一郎は、唐突な娘の言葉によって急激に高まった心拍数を鎮めようと、静かに深呼吸をしつつ、背後の遊里から意識を逸らそうとしていたが、遊里はそんな彼の心に、静かな口調で入り込んでくる。
「ねえ、父さん。
母さんが死んじゃって、辛い?」
「そりゃ辛いよ…遊里ちゃんも、辛いだろう?」
「違うよ。私が言いたいのは、父さんが欲求不満じゃないかってこと」
「ゆ、遊里ちゃん…またそんな…」
「男の人って、ずっとセックスしてなかったら溜まっちゃうんでしょ?最近では私と二人暮しで、オナニーもしてないんじゃない?」
「子供が…そんなこと言っちゃ駄目だよ」
今度はやや強い口調でたしなめる悠一郎。だが、
「子供だからって馬鹿にしないでよ」
遊里は急に語気を強めると、それまで父の背中を擦っていたスポンジを、腰のあたりを通わせ、股間へと伸ばした。
「わっ…!」
そして、悠一郎の包茎ペニスにスポンジをあてて、皮に覆われた先端を軽く擦る。
「あっ…う…」
ビクン、と身体を震わせる悠一郎。そして、
「大きくなってきたよ、父さん」
父親の耳元で囁く娘。
「や…やめるんだ…!」
悠一郎は、崩れかけた理性を建て直し、遊里のスポンジを払いのけた。
そして振り返り、遊里を睨み付けるが、対する彼女はほとんど表情を変えずに言う。
「こんなので勃起するなんて、やっぱり欲求不満なんだね、父さん」
「それは…急にあんなことをされたから…」
「父さんって、私みたいな子供にオチンチン触られて感じちゃうの?」
「ち、違…」
「じゃあ、どうしてオチンチン大きくしてるの?」
「う…」
我が子を叱るどころか、逆にやりこめられてしまい、言葉を失う悠一郎。
すると遊里は、
「ねえ、父さん…」
妙に艶のある声を出して、両手を悠一郎の首に回してきた。
「私がしてあげてもいいよ」
「だ、駄目だ、そんなこと…」
悠一郎が座っていることで身長差がなくなり、遊里の両腕で頭を抱きしめられている状態の中、彼の理性は確実に壊されつつあった。
「そんなことって、何?」
「え…」
「父さんが今想像してること…今からしてあげる…」
「わ…」
悠一郎の頭を抱いたまま、彼を押し倒す遊里。
続けて彼女は、悠一郎が抵抗する間もなく、彼の唇を奪った。
「んむぅっ!」
遊里の舌が、悠一郎の唇をこじ開け、口内に侵入してくる。
絡まる舌と舌。
10歳の少女の行為とは思えないディープキス。
悠一郎の理性は、もはやその快感に抗うほど強くはなくなっていた。
「ん…ん…は…あん…」
無意識のうちに自らも舌を動かし、遊里の舌を求め始める悠一郎。
だが、そんな彼の気持ちを見透かしたように、遊里は唐突に唇を離す。
「あ…」
ふたりの唇の間で糸を引いた唾液が途切れ、悠一郎はわずかに理性を取り戻すが、
「ゆ、遊里ちゃん…」
仰向けに寝かされた悠一郎の、ヘソのあたりに腰を落とした遊里に見下ろされ、それきり言葉を失ってしまった。
唾液にまみれた自らの唇をペロリと舐める彼女の姿は、妖しいほどに美しく、抗い難い威圧感を放っていた。
そして、
「あっ…」
思わず悠一郎が声をあげたのは、彼の勃起したペニスが、遊里のお尻に触れたせいだった。
「キスだけでこんなになるなんて、いやらしいね、父さんって」
そう言って遊里は、悠一郎に乗ったまま腰を前後に揺らし、父親のペニスをお尻で擦り上げてくる。
「あぅ…あ…あぁ…」
勃起してもまったく皮の剥けない悠一郎の包茎ペニス。
その先端で余っている皮を擦られる、ただそれだけの刺激で、彼は情けない声を漏らしてしまう。
「あっ…や…やめ…遊里ちゃ…あぅ…やめる、んだ…」
快感の中、かろうじて残っている理性を振り絞った悠一郎の言葉に、遊里は意外なほどあっさりと従った。
悠一郎の体から腰を浮かせ、立ちあがる遊里。
「あ…ん…」
安堵とも、未練ともつかないため息をつく悠一郎。
彼の包茎ペニスは、まるで立ちあがった遊里を求めるかのように、天井を向いて、ビクビクと脈打っている。
そんな父親を、さきほどよりも高い位置から見下ろし、遊里は言った。
「やっぱり、親子でこんなことしちゃ駄目だよね。ごめんなさい。もうやめるね」
「え…あ…ああ…」
娘の言葉に曖昧にうなずいた悠一郎は、心中で理性と本能の決着がつかないまま、起き上がろうとする。
…が。
「なんてね」
遊里の一言の後、
「はあんっ!」
股間に走る突然の快感に、腰を浮かしかけていた悠一郎は再び尻餅をついてしまう。
「あ…ああああ…」
遊里の足が、悠一郎のペニスを踏み付けていたのだ。
「やめるなんて嘘だから。安心して、父さん」
「あぅ…あ…ああぁ…」
浴室の床タイルと遊里の足の裏との間で、悠一郎のペニスがもがく。
「やめるって言ったとき、がっかりしたでしょ、父さん?」
「…そ、そんなこと…」
悠一郎の反論を、遊里はペニスを踏む足に力を込めることで封じ込めた。
「ああああっ!」
痛みとなる手前の絶妙な圧力で押しつぶされたペニスが、ビクビクと震える。
「こうしてほしかったんでしょ?ねえ、父さん?」
一言発するごとに、遊里の足が左右に動き、悠一郎のペニスに新たな快感を加える。
「あぅ…あう…あ、あふうぅ…
…や…も、もう…やぁ…やめて…やめてぇ!」
喘ぎ、悲鳴をあげながら、遊里の足にすがりつく悠一郎。
そこには、もはや娘を諭す父親の姿は無かった。
あるのは、すさまじい快感に堪えきれず、相手に許しを乞う、ひとりの男性の姿だった。
「イカせてあげるよ、父さん」
対する遊里は、いつもと変わらぬ静かな口調でそう告げると、足にさらなる力を加えた。
「ひゃああぁっ!」
電流が流れた、と思われるほど、悠一郎の全身が大きく震えた。
それからほどなくして、彼のペニスは、娘に踏まれた状態のまま、射精を始めた。
「あ…ああぁ…」
皮被りの先端から放たれる精液が、浴室のタイルを汚していく。
「はぁ…はあ…」
十数秒後。
射精を終え、少しずつ快感が冷めていく中、悠一郎は娘の顔を見上げるが、
「気持ち良かった?父さん」
「……!」
娘の言葉に、すぐに目を逸らしてしまう悠一郎。
すると遊里は、精液を出しきった包茎ペニスから足を離し、悠一郎が座っていた椅子に、彼に背を向ける形で腰かけると、一言、
「頭、洗って」
それきり黙ってしまった娘に、悠一郎はかける言葉が見つからず、仕方なく、シャンプーを取りながら、彼女の後ろに立つ。
…そして、お互い無言のまま、ようやく「普通の親子」の入浴が始まった。
父親の包茎ペニスから、皮の中に残っていた精液が垂れていたことを除いては。